死ぬのはベニス以外のビーチでもいいんじゃないか

ボーダーシャツがあるのに今年は海辺にすら行ってないので、腹いせに『ベニスに死す』など見る。


『ベニスに死す』予告編


50年近く前の、間延びした演出やスローな展開、饒舌なシークエンスのせいもあるのか、正直退屈。こんな作品だったか?
死にかけている真面目で若作りの中年男に感情移入できず、美少年ファッションカタログにも興奮できない。今欲しいのはヴィスコンティよりもビスコッティーと冷たいミルクだし、福岡にもキッザニアができるらしいが男色家は職業ではない。結局、生産性とやらに無縁なそんな男はすべて、ジェンダーを越えたオバサンとして、深海魚のように浜辺に打ち上げられたまま、無様に絶命するしかないのではないかという仮説は、さらに確信めいてきている。
ただ、よこしまな感情は海に似合いすぎるので、ベニス以外でも、やっぱり行った方がいいかも。