自信のないあなたを救う「4つの目」

プレゼンの「4-12-20-24」方法論(メソッド)で「視線としての4」を挙げましたが、実はこれはダブルミーニング。プレゼンで意識したい「4つの目」が、別にあります。それは、自信がないのにプレゼンターになってしまったあなたを救う…かもしれません。
最初の2つは「4-12-20-24」と重複しますが、少し詳しく見てみます。


1.視線:相手の目を意識しながら
プレゼンにおけるアイコンタクトの重要性は、定番中の定番。
ただし、必ずしも相手の目を見つめなくてもOK。もし、視線の強さ・眼光の鋭さ・ガンツケの厳しさに心が折れてしまいそうなら、相手の眉間でもいいですし、鼻の下「人中(じんちゅう)」にでも視線を送りましょう。1本だけ長い眉毛や泣きぼくろでも見つけたら、超ラッキーです。
見方も、じーっと恋のように見つめなくても、ちらちらと視線を送ることで、「あなたの話を聞いていますよ!」「あなたに向けてメッセージを送っていますよ!」になるので大丈夫。
逆に、自分がプレゼンを受ける場合、ほとんどこちらを見ないプレゼンターの態度には、それが自信のなさか、無視かはともかく「あ、この人は私をまったく重視してはいないんだな。」ということがはっきり分かったりします。
ただし、見つめるところが、相手の口元ばかりだと読唇術の解読者風になってしまいますし、相手の頭蓋骨の向こうサイドあたりを意識すると、何だか怪しい遠い目になります。落ち着きのない視点移動にも用心。


2.フォントサイズ:大き目の文字サイズで
大きな文字といえば、画像やグラフを一切使わない「高橋メソッド」の神髄でもあります。そこまでストイックにならなくても、演出方法次第では、短文や単語を中心に文字メインで構成しても説得力はあるのです。
ただ、たとえ大きい文字中心だとしても、強弱は必須。ずっと絶叫され続けていると、その刺激が当たり前になってしまうのと同じです。いくつかの書体を切り替えて使ったり、文字間や行間、周囲の余白とのバランス、カラーは重要です。
そのためには、文字数をできるだけ減らすリライト(文書編集)や、コピーライティング的な表現も要求されることになります。今回の4つの「目」のうち、唯一、事前の仕込みで準備する点なので、余裕を持って試行錯誤を(残念ながら、そんな時間はほとんどできないのが現実ですが)。

でかいプレゼン 高橋メソッドの本

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3.声:大き目の声で
普段からあまり大きな声を出さない人にしてみれば、分かっていてもなかなか出せないのが、はっきりとした声。手元の資料を見てしまうと、どうしてもうつむき加減になり、声が出る角度も下がってしまいます。残念ながら、ぼそぼそとした自信のない声は、マイクで大きくしても変わらないどころか、環境音を拾ってむしろ耳障りですらあります。
そんなプレゼンターでも、事前に資料によく目を通し、キーになるポイントを中心に普段より少しだけ声を張ってしゃべるだけでも、随分と印象が変わります。そもそも、資料は朗読原稿ではないので、すべてを読み上げる必要はありません。ただし、自分自身が作った資料でない場合は、下読み・リハーサルを特に入念に。漢字や慣用句、アルファベット、略称の読み方を声量豊かに間違えて大恥ということは、前首相ならずとも結構あります。
ここは、場数と普段のちょっとしたトレーニングが必要ですが、土壇場の開き直りに勝るものはありません。


4.しゃべりの速度:ゆっくり目の話し方で
なかなか言葉がスムーズに出てこない人でも、自信を持って。決して、流ちょうに喋ることが最終目的ではないはず。むしろ、慣れすぎたしゃべりが失わせてしまう緊張感もあります。しゃべりのスピードは気持ちゆっくりめで、文字や声量と同様、メリハリが重要です。静寂は恐怖ではなく、緊張感を演出する最高の時間になります。
逆に、自信のなさから、つい早口になってしまいがちな人は、ページの切り替わりなど適度なタイミングでひと呼吸入れるぐらいのつもりで。業界用語・専門用語を多用して差し支えない相手かどうかの見極めも、非常に重要です。



資料は、キーフレーズの文字を大きく作っておく。それを自分の言葉として噛みしめながら、少しだけ大きめの声で話せば、自然と全体のスピードもゆったりとしたものにできます。場の雰囲気やリアクションを判断するためにも、適度に視線を上げて見渡します。
そうすれば、手元の資料やメモばかり見る必要がないので→視線が上がってアイコンタクトもしやすくなり→同時に口の角度も上向いて、声が通りやすくなる、とすべてが相互に連動してくれます。

そして、自信のない人ほど、同僚やチームメンバーなど、他者の目からのアドバイスを積極的に受けましょう。もちろんこれ以外にも、早目の会場入りだとか、少し派手目のアピールポイント、少な目のエフェクトだとか、プレゼンで重要な「目つながり」を挙げたらきりがありませんが、そこは当然控え目というベタな締めで。